久々に桐野 夏生を読んだ。
彼女を初めて読んだのは「OUT」だ。までデビューして1年とか2年とか、そんな頃・・・。
それ以来、ちょくちょく読んでたんだけど、オレの感想は、
この人、出来・不出来の差が激しい
ってことだ。
「OUT」では、ナタでぶった切るような強烈な迫力だったのに、他の作品だと肩透かしだったり・・・。
そんなこんなで、しばらく離れてたんだけど、今回の「柔らかな頬」、やってくれたななぁ。
久々の迫力!
ナタで真っ二つにぶった切られた。
第121回(平成11年上半期)の直木賞受賞作なんだけど、桐野さんの作品の特徴は、
女性が強い!
ってことだな。
女性が主人公の作品が多いんだけど、まぁ、とにかく女性が強い。
最初はか弱いのに、何かの事件事故をキッカケに、やたら強くなるんだよな。その辺の男じゃかなわない強烈な強さだ。それが犯罪に触れるものだったり、誰かを苦しめたり、自ら底なし沼に堕ちていくようなものだったり、様々な強さなんだけど、
怖い・・・。

「BOOK」データベースから、簡単にストーリーの紹介~
カスミは、故郷・北海道を捨てた。が、皮肉にも、北海道で幼い娘が謎の失踪を遂げる。罪悪感に苦しむカスミ。実は、夫の友人・石山に招かれた別荘で、カスミと石山は家族の目を盗み、逢引きを重ねていたのだ。カスミは一人、娘を探し続ける。4年後、元刑事の内海が再捜査を申し出るまでは・・・。
野心家で強引な内海も、苦しみの渦中にあった。ガンで余命半年と宣告されたのだ。内海とカスミは、事件の関係者を訪ね歩く。残された時間のない内海は、真相とも妄想ともつかぬ夢を見始める。そして二人は、カスミの故郷に辿れ着いた。真実という名のゴールを追い続ける人間の強さと輝きを描き切った最高傑作。
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この本を分類するとミステリーに分けられると思うんだけど、冒頭は主人公のカスミ、なんとも嫌な女として描かれてる。高校卒業と同時に北海道の両親を捨てて家出。東京に出て働き始める、
やがて結婚して二女を産むんだけど、夫の取引先の相手と浮気中!
しかも、浮気というか・・・本気なんだよな。
読んでて、ムシャクシャするような嫌悪感を抱かせる女だ。
浮気相手の別荘へ家族で招待された時も、夫の目を盗んで・・・
大セックス!
しかも、セックスの時に、こういう風に思う・・・。
このまま子供を捨てて、この人(浮気相手)と一緒になりたい!
なんてな。
そしたら、翌日、ホントに5歳の長女が別荘から消えてしまうんだよなぁ。
事件か事故か!?
懸命な捜索にもかかわらず、長女は見つからない・・・。
ここからが、この作品の本領発揮だ。
まぁ、見事にいろんなものが崩れていく。
カスミと浮気相手との仲はもちろん、カスミ夫婦の仲、浮気相手の家族、別荘地のオーナーの家族、管理人、同じ別荘地に別荘を持つ人・・・。
何もかもが壊れる。
これ、すごく現実的でリアルで怖い。こういう描写、桐野 夏生はホント、上手いわ・・・。
長女はどこに行ったのか?
犯人は誰だ?

もう、ぐいぐい引っ張られる。
寝てる暇なんかない!
長女の失踪から4年間の描き方も、怖いぐらいの現実味。半ば精神を侵されたようなカスミ、そのカスミを温かく受け入れようとする新興宗教・・・。
鳥肌が立つような描き方だな。
で、元刑事の内海と出会ってから、また急展開。
捨てたはずの故郷、北海道で内海と長女の捜索をするカスミ・・・。
ここで、重要なのが「夢」だ。
カスミが見る「夢」だったり、内海がガンの痛みに耐えながら見る「夢」だったり、ここで、長女の誘拐・殺人の描写がされてるわけ。
ある「夢」では、別荘地の管理人が犯人だったり、また、ある「夢」では同じ別荘地に住む大学生だったり・・・。
おお、こいつが犯人か!
なんて思うと・・・
夢でした~!
って幕切れだ。
これが何度か繰り返されるんだけどね。
結局、犯人は誰なんだ!?
読了しても犯人は明かされない。
こんな長い本を読んで、やっと最後までたどり着いて、犯人が謎のまま・・・。
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普通の小説なら、ここまで読んで犯人が謎のまま終わったら、大激怒するところだけど、このラストに至るまでの描写が見事だから、謎のまま終わってもそんなに嫌な気分にならなかった。
カスミだけじゃなくて、他の登場人物の心理描写なんかも丁寧。
これは群像劇とも言える!
まぁ、後味はかなり悪いけど・・・。

犯人が明かされてないんだから、当然、ネットでも様々なネタバレ・犯人予想がされてた。
読了後、いろいろ覗いてみたけど、いろんな解釈が有って面白いな。
作者、桐野 夏生本人のインタビュー
一番最後の章は、失踪する5歳の長女の視点から描かれてるんだけど、胸がつまる・・・。
オレは、やっぱりカスミは好きじゃない。
浮気相手に本気になって、一瞬でも、「子供を捨ててもいい」って思った罰が下ったのだと思うのだ。
小説やら映画の世界じゃなくて、現実の世界にも居るけどな・・・
遊びと本気を区別できないなんて、ロクな結果にならない!
オレなんか、ちゃんと区別してるからな、自分でも凄いと思うわ・・・。

マサトの本棚~(@ブクログ



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次回の予定~

JR東海に言いたい事!
それと、久々にねんどろいどを撮影!