今日と明日のあいだ

独身のオジサンが、日々、思った事を綴ってます。

あまり知られてないけど面白いミステリーを紹介してみる!って話

先日、「黒衣の女」ってミステリーを読んだ。作者は折原 一だ。オレの好きな作家のひとりだけどね・・・。
う~ん、好きだからと言って、毎回、オレが気に入るって事はない。
今回の感想は・・・
難解すぎる!(涙)
それじゃなくても夏バテで疲れてる脳ミソには、この本は難解だった。もっと頭がクリアな状態で読まないと、何が何だかしっちゃかめっちゃか・・・。
折原さんが書いてるんだから、もちろん叙述トリックだ。

以下、文庫本の背表紙から引用~

一見無関係に思われた三件の殺人事件。だが現場に残された口紅のケースが同じことから、同一犯の可能性が。鍵を握るのは犯行直後に目撃された喪服の女。そして新たな共通点も。
最初の被害者は愛人と横領を働き、二人目は婦女暴行の常習犯、三人目は妊娠した愛人を捨てたという女性問題があったのだ。やはり犯人は喪服の女!?数日後、最初の被害者の妻が探偵事務所を訪れた・・・。(「死の変奏曲」改題)

って事なんだけど、うん、この背表紙の紹介文、ウソは書いてないけど・・・
ややネタバレしてるんじゃないの?
最初の被害者の妻が探偵事務所を訪れた・・・なんて書かれてると、マニアの人なら深読みするだろww
まぁ、オレなんかはボサ~ッとしてるし頭も疲れてるしで、この本の結末、よく理解出来てないんだけど。というか・・・
いまだに犯人が解ってない!ww
そりゃ、結末にはちゃんと書かれてるけど・・・
どういう事なんだ!?
って頭が停止したままだ。
自分の読解力の無さを棚に上げていう訳じゃないけど、これ、オレの中では☆2個だなぁ。
折原さんだけに、ウルトラC級の結末を期待したんだけど、武満 徹現代音楽を聴いたみたいな感じで理解できずだった(涙)

 


って事で、オレのブクログ本棚から、オススメのミステリーをいくつか紹介してみようか。
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この手の話だとたいてい出てくるだろう歌野 正午「葉桜の季節に君を想うということ」我孫子 武丸「殺戮にいたる病」なんてのは省略。
あまり知られてないけど、面白い!
ってモノを紹介だ。
それは違うだろ~!とか、こんなのも有るぞ!ってご意見は歓迎するけど・・・
あくまでもオレの好みだからなww
マサトの本棚(国内ミステリー)

まずは、こちら・・・。永嶋恵美「転落」だ。
独断と偏見のオレの感想はブクログに書いてるものだ。

 

題名に惹かれてふと手に取った本書。
この作者は読んだこともないし、先に解説を読もうとしたんだけど、「この解説を読む前に是非本文を読んで頂きたい」の一文が......。
いつもは本を買う前に解説を読んでから買ってるんだけど、素直に解説者に従った。
何の予備知識もなく読み始めてみたんだが・・・。
アタリだった!
ダークな心理描写と各章で描かれるサプライズ。分類すると湊かなえや沼田まほかるが書くような「イヤミス」ってことになりそうだけど、とにかく人物の心理の描き方が上手い。
それにちょっとしたサプライズが各章に仕組まれていて、飽きないんだよな。
最後に大どんでん返しと言う小説ではなくて、所々に仕掛けられた小さなサプライズで読者を引っ張る小説。
第一章は、ホームレスの「ボク」と彼に”餌付け”して小さな犯罪を犯させる小学生。その関係は、やがて破滅的な結末を迎えるのだが、この第一章だけでも短編として成り立つような出来栄えだと思う。
第二章は、ホームレスの「ボク」を匿うことになった中年の女性の視点で描かれている。この女性の心理描写、勤めている病院での老人介護の描写など、上手すぎるんだよね。もしかして、作者は介護の経験が有るんじゃないか?って思うわせるぐらいだ。
また、ホームレスと彼女との関係も次第に明らかになり、ドキドキ感はますます上昇していく。
第三章は、再びホームレスの視点で描かれるんだけど、ここでもサプライズが・・・。
いやはやノックアウトさせられたなぁ。
まぁ、ノックアウトはオーバーだとしても、TKO負けぐらいの感覚はあるな。
ロクな人間は出てこないし、登場人物たちが考えていることもダーク、結末もけっしてハッピーエンドじゃないんだけど、読んで良かったな!と思わせる内容。
いわゆる「イヤミス」が苦手な人には合わないだろうけど、自分的には満足できた一冊。
育児や老人介護など現代人が抱える問題を絡めて、人間の心の汚い部分を抉り出してる本書、思わぬ掘り出し物だった。
☆4個
背表紙~
ホームレスになってしまった「ボク」は、食料を探していた神社で、小学生の麻由から弁当を手渡される。巧妙な「餌付け」の結果生まれた共犯関係は、運命を加速度的に転落へと向かわせる。見せ掛けの善意に隠された嫉妬・嘲笑・打算が醜くこぼれ落ちるとき、人は自分を守れるのか!?驚愕の心理サスペンス。
初めての永嶋作品だったけど、この感じは、初めて浦賀和宏さんの作品「彼女は存在しない」を読んだ時と同じ。
掘り出し物を見つけた喜びである。

続いては、浦賀和宏「こわれもの」だ。
これは、ちょっとした衝撃だった。
この浦賀和宏って作者、上手いな。
「彼女は存在しない」を読んで気になってたんだけど、たまたま本屋で見かけて、本書を購入。「彼女は~」以上に上手さが光ってるんじゃないか?人物の描写も上手く描けてる。
というか、上手すぎる。
本書の中に「オタク」が登場するんだが、この人物の描きかたなんか上手すぎて、読みながら嫌悪感さえ感じさせる描写。あまりに嫌悪感が強くなって、読むのを止めようかと思ったほどだ。これほど嫌な登場人物は久々に出会ったな。
あまりの嫌さ加減に挫折しかけたんだけど、後半1/3からは怒涛の展開で一気にラストまで持っていく推進力。
二転三転するストーリー、背筋がス~ッと寒くなるような伏線の回収(手前と奥に本を並べてる本棚)など、お見事と言うほかない出来栄え。
最後の最後で、もう1回、ダメ押しのドンデン返し。
読み終わった!と思って、「あとがき」、「解説」を読むつもりでページをめくると、まだ物語が続いており、ここから思いもしない展開。わずかに未来に希望を持たせる描写で終わってた。
二読、三読すると、もっと良さが伝わってくる小説だと思う。
☆5個
背表紙~
ある日突然、婚約者の里美を事故で失った漫画家の陣内龍二は、衝撃のあまり、連載中の漫画のヒロインを作中で殺してしまう。ファンレターは罵倒の嵐。だがそのなかに、里美の死を予知する手紙があった。送り主の神埼美佐とは何者か。本当に死を予知する能力があるのか。失われた恋人への狂おしい想いの果てに、陣内が辿り着く予測不能の真実!最後の1ページであなたは何を想いますか?
うん、たしかに最後の1ページまで気の抜けない小説だ。
この作者、もっと売れても良いと思う。
って感想を残してるんだけど、この人はホント上手いわ・・・。

短編集にもオススメは有るんだけど、深水 黎一郎「人間の尊厳と八〇〇メートル」は、かなりオススメ出来る水準だ。この作者、他にも「ウルチモ・トルッコ(犯人はあなただ!)」なんんていう実験的な小説も書いてる。これは本を読んでる読者が犯人!って言う究極のミステリートリックに挑戦してるぞ。
5編からなる短編集。作者の深水 黎一郎の著作は初めて読んだが、満足できる作品だ。
・「人間の尊厳と八〇〇メートル」
日本推理作家協会賞受賞作。ラストでのオチが秀逸で、読後感も良い。量子力学と陸上の八〇〇メール走が、人間の尊厳とどう関わってくるのか・・・。作中の会話がとても上手く納得させられる。それだけに最後のオチが効いてくるのだが・・・。
・「北欧二題」
実際に起きた事件をもとに書かれたという作品。この作品が5編の中で一番、気に入った。最後まで読んで、ほのぼのさせられる読後感は、非常に秀逸。また、ルビ以外はカタカナを一切使用しないという、なかなか実験的な作品でもある。この文体は、ミステリーが必要とするある種の雰囲気を醸し出すのにも有効と、作者は考えているそうだが、たしかに成功しているように思う。ルビ以外にカタカナの無い文体と、ラストでの暖かな読後感。一見、ミスマッチに思える組み合わせだが、大成功と言えるのではないだろうか。
・「特別警戒態勢」
中盤まで読んでいくと、およそ犯人が解ってしまった。5編の中では、かなり水準が下がる作品ではないだろうか。
・「完全犯罪あるいは善人の見えない牙」
ある女性が完全犯罪についての考察を述べている一遍。ラストのオチは、「おっ!?」と思わせる意外性で楽しめた。
・「蜜月旅行」
新婚旅行でパリを訪れた男女の話。これといってミステリー的な要素の無い作品だが、なぜかページをめくる手が速くなる。新郎の述べる薀蓄も面白く読めるし、なかなか楽しめる一遍。
5編に共通して言えるのだが、作中、世の中や世間の常識に対して、かなり痛烈な皮肉が述べられている。的を得た記述だけに、読んでいて愉快な気分にもさせられる。
これから追いかけてみたい小説家の登場だ。

ちょっとだけBL臭のする秀作もある。奥泉 光「シューマンの指」だ。
初めて奥泉光の著作を読んだ。「このミステリーがすごい」でかなり上位にランクインしていたので、図書館で借りてきたんだが・・・。
主人公の独白と回想から構成されており、題名が示す通り、かなりクラシック音楽(特にシューマンについて)の記述が多い。
事件そのものは、半分近くまで読み進めないと起きない。故にそこまで読み進めるのに、多少の忍耐が必要かもしれない。音楽(クラッシック)についての記述が多いので、やや退屈に感じてしまった。が、30年前の事象(当時、主人公は高校生)を描く描写力は筆力があるように思った。主人公の心理描写なども秀逸。
30年前に起こった事件を回想しながら、最後に真相が明かされるのだが・・・。
・事故で指を切断したはずの天才少年ピアニスト。なぜ数年後、ピアノの演奏会を開いていたのか?指を切断すれば、ピアノが弾けないはずなのに・・・。
・30年前の殺人事件。その真相は・・・?
最後の最後に明かされる真相。
これは、自分的には反則ギリギリだが、セーフって感じだ。
しっかりと余韻も残り、秀作といえる。
 
 

ビートルズのアルバムに「ラバー・ソウル」ってのが有るんだけど、井上 夢人「ラバー・ソウル」もかなりの秀作。ビートルズのアルバムの中の曲に関連した章のタイトル等、ビートルズのファンなら読んでも楽しい。
岡嶋二人「99%の誘拐」「クラインの壷」は読んでいたけど、ソロになってからの井上作品を読むのは今作が初。何を読もうか迷っていたところ、各書評サイトなどで評判の「ラバー・ソウル」を選択。
うん、正解だったな。堪能しました!
女性モデルと彼女に執拗に付きまとうストーカー、その関係者たちへの「事情聴取」で構成されてる本書。
いやぁ、このストーカー、すごいわ・・・。
独りよがりな考え、胸くその悪くなるような行動、読んでる途中、何度も本書を放り出したくなった。本を読んでて、ここまで気分の悪くなる登場人物は珍しい。岡嶋二人の文体をイメージしてただけに、「こんなモノも書けるのかぁ!」と驚いたな。
ストーカーの心理描写も丁寧に描かれているし、被害を受ける女性モデルの恐怖もヒシヒシと伝わってくる展開は、本書を投げ出したいけど、どんどんページをめくってしまうというジレンマ・・・。
読んでる間、このストーカーのイメージで、宮崎勤を思いだした。犯罪の性質は違うけど、ストーカーの心理描写や部屋の様子が、あの事件を思い出させたんだろうと思う。
それぐらい気持ち悪く、胸くその悪くなるストーカー描写だったんだが・・・。
ところが、ラストで急展開。
急展開というよりも表と裏が反転。
これまでの、このストーカーに対するネガティブな印象がガラッと変わってしまった。
なんとも言えない読後感だ。
ビートルズのアルバムをタイトルにして、アルバムの中の各曲を各章のタイトルにしてる本書。各章もそれぞれの曲名に沿う内容になっていて、ビートルズファンの自分としては、この辺りも楽しめた。
☆5個
背表紙~
幼い頃から友だちがいたことはなかった。両親からも顔をそむけられていた。36年間女性にも無縁だった。何度も自殺を試みた━そんな鈴木誠と社会の唯一の繋がりは、洋楽専門誌でのマニアをも唸らせるビートルズ評論だった。その撮影で、鈴木は美しきモデル、美縞絵里と出会う。心が震える、衝撃のサスペンス。
うん、サスペンス要素もバッチリだった。
なんとも言えない読後感だけど、東野圭吾の「容疑者Xの献身」を思い出したな。
ストーカーの異常心理や行動に、何度も読むのを止めようかと思ったけど、最後まで読んで良かった。気分を悪くする登場人物なのに、放り出すことも出来ずグイグイ読ませる推進力のある文章。
本書の解説にもあるが、「予想外の結末にもう一度最初からページをめくりたくなる」とあるが、自分も、これからまた、ページをめくろうと思う。

よく有るけど「ミステリー ベスト10」みたいな記事とか・・・。超定番の「十角館の殺人」とか読んじゃってるし、定番と言われるモノの後は、新しい作者を探すのも楽しいのだ。
気に入った作者が見つかったら・・・
追いかける!
まだまだ、オレの読書旅は続く!