今日と明日のあいだ

独身のオジサンが、日々、思った事を綴ってます。

やっぱり映画「砂の器」は泣ける!って話

いきなりの「砂の器」だ。
連休だったんでね、久々に観てみようと、DVDの棚をを引っ掻き回して探し出してきた。
ご存知、松本清張のベストセラー。ジャンルとしてはミステリーなんだけど、ミステリーの中でも「社会派」に分類されるものだ。ミステリーには「本格」「密室」「倒叙」「アリバイ」・・・等々、いろんなジャンルが有るけど、松本清張「社会派」を確立した作家だと思ってる。奇想天外、実現不可能、パズルのようなミステリーと違って、リアリティを重視して事件の背景も丁寧に描かれたものが「社会派」ミステリーなんだけど、その代表作家が松本清張であり、彼の多くの作品の中でも、一、二を争う人気作が「砂の器」だ。この作品の特徴は、事件の背景に「ハンセン氏病」を置いたことだ。昔の日本では非科学的な偏見から、差別されたり隔離されたりした病気だな。たまにニュースなんかでも取り上げられてるけどね。この辺りは常識として知っておいても良いレベルだと思ってる。

 


で、その「ハンセン氏病」を背景に書かれた「砂の器」だけど、映画化もされているし、テレビドラマに至っては5回もドラマ化されているので、ストーリーを知ってる人は多いだろうけどね。
簡単に映画のストーリーのおさらい・・・。(原作は若干異なる部分がある)

鎌田の操車場内で男の殺害死体が発見される。身元は分からないが、事件前に酒場で、被害者と連れの若い男が話し込んでいた事が分かる。被害者は東北弁のようなズーズー弁を話し、何度も「カメダ」と言っていたとの証言が得られる。カメダとは人の名前か、地名か?警察は懸命な操作を続け、東北、島根、伊勢へと警察の地道な捜査が続く。
一方、新進気鋭の音楽家、和賀英良は次回のコンサートに向けて「宿命」の作曲をしている。未来が約束されているような彼にも、暗い影がある・・・。まぁ、彼が犯人なんだけど、警察はどうやって彼にたどり着くのか?また、彼を犯行に駆り立てたもは何か?

ってのが、ざっくりしたストーリー。
いつも書いてるけど、最近は、小説を映画化する風潮が顕著だけど、オレは邦画の場合は、
原作を読んでから映画を観る!
ごく稀に逆のこともあるけど、これまでに一度か二度だけだ。
今回、久しぶりに映画「砂の器」を観たけど、やっぱり原作を知ってると、映画に嵌まり込めるね。
この映画を観てない人は、まずは原作を読んでおく方が良いと思う。もちろん原作を知らずに映画を観ても楽しめるけど、原作を読んでる方がもっと楽しめると思う。
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で、この「砂の器」1974年の映画だな。
久々に観たけど、加藤 剛・・・
若いな~!ww
刑事役の丹波哲郎なんか、ギラギラしてるやんか。これ、いくつの時なんだ?
森田健作やら緒形 拳も若い!「東京物語」にも出てる笠智衆なんか、相変わらずの演技だ、この人が出てるシーンは、妙に安定感があるww
島根県の駐在を演じてる緒形 拳だけど、親切で真面目で、非の打ちどころのない人間を好演。この人、「復讐するは我にあり」では実在する殺人鬼を演じてたのに・・・。何を演らせても上手いわ。
でね、一番の見どころは・・・
回想シーン!
ここは、30分を超える超見どころだ!(ラストの30分)
捜査会議で和賀英良を犯人と断定するシーンと、コンサートで「宿命」を発表してる和賀英良のシーンが交互に映されるんだけど、そこに挟まれるのが回想シーンだ。
この映画、もう10回は観てるけど、この回想のシーンは・・・
いつも泣く!(涙)
ここで事件のバックボーンでもある「ハンセン氏病」が大きな役割を担うわけ。

秀夫(和賀英良)は、石川県の寒村に生まれた。父・千代吉がハンセン氏病に罹患したため母が去り、やがて村を追われ、やむなく父と巡礼(お遍路)姿で放浪の旅を続けていた。秀夫が7歳のときに父子は、島根県の亀嵩に到達し、当地駐在の善良な巡査・三木謙一に保護された。三木は千代吉を療養所に入れ、秀夫はとりあえず手元に置き、のちに篤志家の元へ養子縁組させる心づもりであった。しかし、秀夫はすぐに三木の元を逃げ出し姿を消した・・・

って事なんだけど、昔の日本では「ハンセン氏病」なんてのは、差別の対象でしかなかったからね。オレだって、リアルタイムで知ってる訳じゃないけど、隔離されてた人たちに国が謝罪したり、昔の隔離政策をニュースで大々的に報道してたからな、これぐらいは知ってるぞ。
父子で放浪するシーンが何度も繰り返されるんだけど、観ていられない辛さだ。
子供たちから石を投げられたり、子供だけじゃなくて大人からも忌避され差別されて、親子二人だけで放浪する姿は、間違いなく日本映画の「泣けるシーン」100選に選ばれるだろうな。(オレが作ったw)
物乞いをしても施しを受けられず自炊したり、恨めしそうに学校を見下ろすシーン・・・。
この回想シーンだけど、原作者の松本清張「小説では絶対に表現できない」と高く評価したそうだ。
延々と映される子供の頃の回想シーンだけど、なにが凄いって・・・
この子役!
すごい目力だ。春田和秀君って子が演じてるんだけど、
この子、凄すぎる。
父子の放浪だけど、病気の父をかばうシーン父から守られるシーン・・・
観ていられない(涙)
ウソだと思うなら観てみろ!
って言いたいね。
この回想シーンで辛くない人とは、オレは一生涯、気が合わない気がするww
この春田和秀君、現在は俳優業をやってないみたいで、とても残念だ。
目力と言えば、「誰も知らない」柳楽優弥君も凄かったな。


「ハンセン氏病」なんて、ある意味、国の裏面史だと思うんだよね。それを背景に「砂の器」を書いた松本清張もさすがだし、この映画は見事に描いてる・・・。
何を?
って、そりゃ、人間の「宿命」だ!
映画の中で使われてる音楽「宿命」だけど、これも素晴らしいの一言。回想シーンでは延々と流されるんだけど、「悲しみ」「怒り」「諦観」を表現してて、見事だね。和賀英良を演じる加藤 剛がピアノを弾きながら子供の頃を回想するシーンは、表情に「悲しみ」「怒り」「諦観」を表していて、こういう音楽(クラシック風)を聴きなれない人も惹き込まれるんじゃないか?
監督は野村芳太郎、脚本は山田洋次、音楽は芥川也寸志と、スタッフも豪華だ。
原作よし、映画よし、っていうように両立する事はなかなか無いけど、この映画は、ちゃんと両立してる。
重い気分になるけど、オススメの映画だ。

 

で、ドラマ化もされてるんだけど・・・。
これまでに5回か。
ドラマは観た事ないんだよなぁ。
2004年版には、元SMAPあれ(名前を書くのも嫌だw)が主演してるんだけど、
あえて観なかったww
なにが悲しくて、あんなジャニタレを観ないとアカンねん
って思ってるしww
2011年版も有るんだけど、原作とは似ても似つかない設定に変更されてる、って聞いて観てないんだよね。
まぁ、どう変えようが勝手だけど、変えすぎると松本清張が化けて出てくるぞ・・・。

 



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